かかる政策の代表は、食料の公共配給制度、人件費構成の高い公共土木事業(賃金支払を小麦の現物で行う事業をFood for Worksと呼ぶ)、学校給食や登校した児童への食料配給(Food for Education)、自己雇用促進のための低利融資などである。最後の融資制度では、インドのIRDPやバングラデシュのグラミン銀行が有名である。こうした土地なし雑業層に対する融資の効果はよく知られている。表5は、同額の財政支出を、工場の農村誘致、灌漑、IRDPの水牛プロジェクト、IRDPの自営業プロジェクトにそれぞれ振り向けた場合の直接・間接の所得創出効果を、SAM法によって評価したものである10。IRDPの土地なし層へのインパクトの大きさは明白である。